英語ではこのように高級語彙,つまり専門家や学問,特殊技術に携わる人々が用いる知的な用語の殆どが,一般の人々にはその意味が分からない古典語の要素で組み立てられているため,英米での新聞や雑誌などは少数のインテリを念頭においた高級紙と,一般大衆向けのものとにはっきりと分かれています。これに反して日本では国民の全てを読者とする全国紙がいくつもありますが,これは日本語が社会の上下を区別する必要のない言語だからです。そしてその理由の大きな部分が,漢字という古典外来要素に対して,英語などの場合とは違い,訓読みという誰にでも理解できる一種の<意味状の注釈>が用意されていることです。
鈴木孝夫 (2009). 日本語教のすすめ 新潮社 p.30
鈴木孝夫 (2009). 日本語教のすすめ 新潮社 p.30